2008 年 5 巻 2 号 p. 119-129
本研究では,イメージを形成すると視覚的な情報だけでなく感情的な情報も喚起されるか否かを,感情プライミングの手法を用いて検討した.実験の結果,イメージを形成する際に視覚情報の喚起のみを促し,感情情報の処理には一切言及しない教示下においても,その後の語彙性判断課題にイメージ対象の感情的側面の影響が見られた.このような結果は,絵的なイメージの形成を促した条件では見られるが,提示された文字パターンをそのまま保持させる条件では見られなかった.これらの結果から,絵的なイメージの形成によって感情情報は常に喚起されること,またそれは文字認知により生じる感情とは異なることが示唆された.