認知心理学研究
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絶対音感の正確度と符号化特性:音声干渉が絶対的な音高判断に与える影響
池田 佐恵子
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2010 年 8 巻 1 号 p. 41-51

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抄録

絶対音感は,外的な基準枠を与える音なしに音楽的音高を同定または産出できる能力と定義される.本研究は,絶対音感に関する二つのことを問題にした.一つは絶対音感保有者の音高の符号化方法であり,もう一つは絶対音感の正確度と符号化方法の関係である.実験では,音楽的音高を音声で発声させた刺激を使って絶対的な音高の知覚を干渉し,干渉された量を測ることで音声的符号化の程度を絶対音感水準別に調べた.その結果,音声に干渉されると,不正確な絶対音感保有者の判断の正確さは非保有者と同程度になった.一方,正確な絶対音感保有者は,音声干渉の影響を受けるものの,非保有者と同定度にはならなかった.このことは,不正確な絶対音感保有者が絶対的な音高の処理の基盤として音声的な符号化を主要な手段としているのに対し,正確な絶対音感保有者はその他の手がかりによる判断も行うことができることを示唆する.

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© 2010 日本認知心理学会
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