2007 年 60 巻 6 号 p. 354-358
完全直腸脱に対する低侵襲手術の工夫として, 80歳前後の女性, 2症例に経肛門的直腸部分切除術+Tiersch法を施行した. これは肛門管上で器械吻合がなされるために, 脱出した腸管を肛門縁より5cmの部位で完全に離断し, 直腸間膜を腸管より剥離し脱出腸管の2倍で縫い代部分の1.5cmを残してタバコ縫合でアンビルヘッドを固定する. ドレーンを挿入し, これを骨盤腔内に戻し切離端をGIAで閉じる. その中心をアンビルシャフトが通る穴を開けアンビルヘッドに装着し, ファイアーする. Tierschをおき手術を終了する. この手技は腰椎麻酔下でどの施設でも行い得る下低侵襲であり, 1カ月後には肛門機能も戻り予後が良いので私の手術手技として報告する.