日本大腸肛門病学会雑誌
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60 巻 , 6 号
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原著
  • 国本 正雄, 安部 達也, 鉢呂 芳一, 鶴間 哲弘
    2007 年 60 巻 6 号 p. 327-332
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    当院では2005年4月23日より肛門疾患に硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸注射液 (ALTA) を使用し始め, 症例数も700例を超えている. これまでALTA投与による内痔核硬化療法後の直腸潰瘍発生症例を3例経験した. そのうち1例は肉眼上Ul-3相当の潰瘍であったにもかかわらず, いずれの症例も痔疾用坐剤および抗生剤による保存的治療で肛門痛などの症状を消失することができ, その後の肛門機能障害についても認めなかった. 以上より, ALTAによる痔核治療を施行する場合には, ALTA投与後の直腸潰瘍発生の可能性を念頭におくべきであり, 本剤投与後の定期的な経過観察, および直腸潰瘍確認後の患者への十分な説明と適切な保存的治療が重要と思われた.
  • 堀江 久永, 宮倉 安幸, 佐藤 寛丈, 浜田 徹, 熊野 秀俊, 鯉沼 広治, 冨樫 一智, 小島 正幸, 岡田 真樹, 永井 秀雄
    2007 年 60 巻 6 号 p. 333-337
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    目的 : 回腸ストーマ閉鎖術における器械吻合と手縫い吻合の安全性と経済性についてprospective studyを施行した.
    方法 : 器械吻合はfunctional end-to-end吻合, 手縫い吻合はlayer-to-layer吻合を行った. 器械吻合群は外科臨床経験2年以上の医師, 手縫い吻合群は4年以上で腸管の手縫い吻合の経験のある医師を術者とした.
    結果 : 器械吻合群 (10例) と手縫い吻合群 (10例) の術者の平均臨床経験年数はそれぞれ3±1, 7±3年 (p<0.05) であった. 平均吻合時間は24±6, 58±16分 (p<0.05), 平均手術時間は96±21, 127±26分 (p<0.05) であった. 術後合併症は創感染が機械吻合群に1例, 手縫い吻合群に4例認められたのみで, 縫合不全やイレウスはなかった. 術後平均在院日数は10±3, 11±1日 (n.s.) であった. 手術材料費は器械吻合で32,000円, 手縫い吻合は24,827円であった.
    結論 : 器械吻合は経験の少ない術者でも短時間で安全に施行可能で, コスト面でも手縫い吻合と大きな差は認められなかったため標準術式として妥当であると考えられた.
臨床研究
  • 山本 和義, 川崎 高俊, 古河 洋, 福永 睦, 武元 浩新, 大城 良太, 太田 勝也
    2007 年 60 巻 6 号 p. 338-341
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    目的 : Vessel sealing system (VSS) を用いた痔核手術の有用性と問題点について検討する. 対象と方法 : 2002年1月17日から2004年10月1日までに当院においてVSS法を用いた内痔核手術を施行された136症例を対象に, 内痔核の程度, 切除個数, 手術時間, 在院日数, 術後合併症の出現頻度について検討した. 結果 : Goligher分類でIII度は120例, IV度は16例. 切除個数は2.7±0.9個 (mean±SD), 手術時間は16.6±10.1分, 出血量は全例少量, 在院日数は5.5±1.7日であった. 術後合併症として, 処置を要する出血が7例 (5.1%) に認められ, うち止血手術を行ったものが3例 (2.2%) であった. 結論 : VSS法による痔核手術は手技的に簡便で, 一般外科医でも十分行うことができる. 出血の合併症がやや高い傾向にあったが, シール部分を補強することで十分対応可能であると考えられた.
  • 番場 嘉子, 板橋 道朗, 廣澤 知一郎, 小川 真平, 野口 英一郎, 竹本 香織, 城谷 典保, 亀岡 信悟
    2007 年 60 巻 6 号 p. 342-346
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    目的 : 潰瘍性大腸炎術後合併症である深部静脈血栓および肺塞栓の臨床学的特徴について検討した.
    方法 : 1998年から2005年までに当科で手術を施行した103症例を対象とした. そのうち深部静脈血栓および肺塞栓を発症した症例は7例 (6.9%) であった. 臨床学的特徴について非発症例と比較検討し, 適切な治療について考察した.
    結果 : 7症例は, 男性3例および女性4例, 平均年齢は26歳 (22―33), 体脂肪率は平均18.9kg/m2 (15.2―21.7) であった. 深部静脈血栓は6例 (86%) また肺塞栓は1例 (14%) に認めた. 術前から深部静脈血栓の診断に至った症例は4例 (67%) で, 術後に深部静脈血栓を発症した症例は1例 (14%) であった. 全症例で周術期にヘパリンが投与され, 下大静脈フィルターを留置した. 治療開始後に新たな塞栓を来した症例は認めなかった.
    結語 : 深部静脈血栓および肺塞栓に対し早期診断が重要である. また周術期におけるヘパリン投与およびフィルター挿入は有用であった.
症例報告
  • 中山 吾郎, 小寺 泰弘, 小池 聖彦, 柴田 純孝, 野垣 正樹, 中尾 昭公
    2007 年 60 巻 6 号 p. 347-353
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    症例は38歳男性. 主訴は会陰部腫瘤. 坐骨直腸窩左側から腹膜反転部に達する腫瘤と右側に娘結節と思われる腫瘍を認め, 経皮的針生検の結果, 脂肪肉腫と診断された. 腫瘍被膜を十分な切除断端をもって切除するためには直腸肛門の温存は困難と考え, 腹会陰式直腸切断・尾骨合併切除術による腫瘍摘出術を施行した. 切除標本重量 : 1,950g, 左側腫瘍径 : 12×9×7cm, 右側腫瘍径 : 5×5×4cmで, 病理組織学的には粘液型脂肪肉腫と診断された. 術後補助療法として小骨盤腔へ40Gyの照射を行った. 約半年を経過した現在, 明らかな再発兆候は認めていない.
    坐骨直腸窩に発生した脂肪肉腫に対し, 腹会陰式直腸切断・尾骨合併切除術による腫瘍摘出術を施行した後, 補助放射線療法を追加し, 良好な経過をとっている1例を経験したので若干の文献的考察を追加し報告する.
私の手術の工夫
  • 森田 博義, 吉川 善子, 湖山 信篤
    2007 年 60 巻 6 号 p. 354-358
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    完全直腸脱に対する低侵襲手術の工夫として, 80歳前後の女性, 2症例に経肛門的直腸部分切除術+Tiersch法を施行した. これは肛門管上で器械吻合がなされるために, 脱出した腸管を肛門縁より5cmの部位で完全に離断し, 直腸間膜を腸管より剥離し脱出腸管の2倍で縫い代部分の1.5cmを残してタバコ縫合でアンビルヘッドを固定する. ドレーンを挿入し, これを骨盤腔内に戻し切離端をGIAで閉じる. その中心をアンビルシャフトが通る穴を開けアンビルヘッドに装着し, ファイアーする. Tierschをおき手術を終了する. この手技は腰椎麻酔下でどの施設でも行い得る下低侵襲であり, 1カ月後には肛門機能も戻り予後が良いので私の手術手技として報告する.
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