日本大腸肛門病学会雑誌
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原著
中下部進行直腸癌における肛門側直腸間膜内のリンパ節転移頻度と郭清効果における検討
須藤 剛池田 栄一佐藤 敏彦
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2007 年 60 巻 7 号 p. 398-405

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抄録

中下部進行直腸癌における直腸間膜内のリンパ節転移状況を明らかにし, 特に肛門側mesorectum内のリンパ節転移状況とその郭清効果, さらに壁外進展様式 (Distal cancer spread : DCS) について検討した. 検討1 : 根治度A, Bの中下部直腸癌189例のうち腫瘍直下のmesorectum内リンパ節を251-1-T, 腫瘍から5cm口側を1-O, 5~10cmを2-O, 腫瘍から2cm肛門側を1-A, 2~4cm肛門側を2-Aとし, 各リンパ節の転移頻度と5年生存率を乗じて郭清効果Indexを求めた. 検討2 : 42例の肛門側標本を4mm幅に全割しDCSについて検討した. 結果 : 検討1 郭清効果は1-TはIndexがRa18.1, Rab24.3, Rb28.3と高値だが, 1-AはRa1.0, Rab2.7, Rb0であり, 2-Oや252に近い郭清効果を示した. 検討2 DCSの頻度は4.8% (2/42例) でlyであった. 吻合部近傍に再発した6例中4例は肛門側進展例であった. 考察 : 現在1群とされている肛門側2cm以内のリンパ節は中枢側2群リンパ節に近い郭清効果であった. 分化型で限局型腫瘍はmesorectumを2cm切除することで十分であり, 上記以外では壁外進展を考慮し2cm以上切除する必要があると思われた.

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© 2007 日本大腸肛門病学会

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