日本大腸肛門病学会雑誌
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60 巻 , 7 号
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原著
  • 間 浩之, 山口 茂樹, 赤本 伸太郎, 富岡 寛行, 絹笠 祐介, 齊藤 修治, 石井 正之, 森田 浩文
    2007 年 60 巻 7 号 p. 385-391
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    目的 : 当院では, 大腸癌術前の機械的腸管前処置 (MBP) で用いる下剤の種類を変更し内服量を徐々に軽減してきた. 下剤の種類による低位前方切除術後の創感染と縫合不全の発生について検討した. 方法 : 直腸癌に対して低位前方切除術を施行した236例を対象とした. A群 (13例) : 術前日ニフレック®2,000ml 内服, B群 (121例) : 術前2日間マグコロールP®各1包 (100g) 内服, C群 (102例) : 術前日ラキソベロン液®10ml 内服に分類した. 結果 : 創感染はA群 : 0% (0/13), B群 : 5.8% (7/121), C群 : 5.9% (6/102) で有意差を認めなかった (p=0.67). 縫合不全はA群 : 15.4% (2/13), B群 : 12.4% (15/121), C群 : 9.8% (10/102) で有意差を認めなかった (p=0.75). また, B群とC群をそれぞれ開腹手術群と腹腔鏡手術群に分類し, 創感染と縫合不全の発生について再検討したが, 有意差を認めなかった. 結語 : 下剤の種類を変更しても創感染と縫合不全の合併症の頻度に有意差を認めなかった.
  • 石橋 敬一郎, 石畝 亨, 傍島 潤, 崎元 雄彦, 大澤 智徳, 横山 勝, 宮崎 達也, 中田 博, 権田 剛, 石田 秀行
    2007 年 60 巻 7 号 p. 392-397
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    目的 : 大腸癌同時性肝転移の肝所属リンパ節 (HN) 転移について検討し, 治療上の意義について考察した. 対象・方法 : 原発巣に対し, D2・D3郭清をともなう切除が行われた大腸癌同時性肝転移のうち, HNのサンプリングあるいは郭清が行われた54例 (肝切除16例を含む) のHN転移頻度と臨床病理学的諸因子との関連を検討した. 結果 : 肝切除例の3例 (19%), 肝転移非切除例の10例 (26%) にHN転移を認めた. HN転移陽性例は陰性例より肝切除例ではCA19-9が有意に高く (p=0.01), 原発巣のリンパ節転移個数も多い傾向を認め (p=0.09), 一方, 肝切除不能例ではCEAが有意に高かった (p=0.04). 肝転移体積を含め, その他の臨床病理学的諸因子とHN転移の有無の間には関連性は認めなかった. 結語 : 大腸癌同時性肝転移症例の治療法の選択にあたり, 切除・非切除にかかわらず, 臨床的に無視できない頻度のHN転移があることを念頭におき, 実際の診療にあたるべきである.
  • 須藤 剛, 池田 栄一, 佐藤 敏彦
    2007 年 60 巻 7 号 p. 398-405
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    中下部進行直腸癌における直腸間膜内のリンパ節転移状況を明らかにし, 特に肛門側mesorectum内のリンパ節転移状況とその郭清効果, さらに壁外進展様式 (Distal cancer spread : DCS) について検討した. 検討1 : 根治度A, Bの中下部直腸癌189例のうち腫瘍直下のmesorectum内リンパ節を251-1-T, 腫瘍から5cm口側を1-O, 5~10cmを2-O, 腫瘍から2cm肛門側を1-A, 2~4cm肛門側を2-Aとし, 各リンパ節の転移頻度と5年生存率を乗じて郭清効果Indexを求めた. 検討2 : 42例の肛門側標本を4mm幅に全割しDCSについて検討した. 結果 : 検討1 郭清効果は1-TはIndexがRa18.1, Rab24.3, Rb28.3と高値だが, 1-AはRa1.0, Rab2.7, Rb0であり, 2-Oや252に近い郭清効果を示した. 検討2 DCSの頻度は4.8% (2/42例) でlyであった. 吻合部近傍に再発した6例中4例は肛門側進展例であった. 考察 : 現在1群とされている肛門側2cm以内のリンパ節は中枢側2群リンパ節に近い郭清効果であった. 分化型で限局型腫瘍はmesorectumを2cm切除することで十分であり, 上記以外では壁外進展を考慮し2cm以上切除する必要があると思われた.
臨床研究
  • 木村 聖路, 福田 真作, 田中 正則
    2007 年 60 巻 7 号 p. 406-411
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    大腸癌は腺腫から発生するとされるが, 結腸と直腸ではその比率が異なる可能性がある. 今回両者における腺腫と癌の発生頻度を比較して, 腫瘍発生の場としての相違を検討した. 腺腫964病変, m癌219病変, sm癌37病変, mp以深癌178病変を, 肛門から15cmを境界として結腸腫瘍 (C群) と直腸腫瘍 (R群) に分類した. 合計1,398大腸病変のうちC群は77.5%, R群は22.5%を占めた. 腺腫はC群82.7%, R群17.3%, m癌はC群74.4%, R群25.6%, sm癌はC群56.8%, R群43.2%, mp以深癌はC群57.3%, R群42.7%の比率だった. R群ではm癌, sm癌, mp以深癌の比率は腺腫に比較し, それぞれ有意に高かった. さらにsm癌, mp以深癌の比率はm癌に比較し, それぞれ有意に高かった. しかしsm癌とmp以深癌の比率には有意差がなかった. 一方C群の中で腺腫は73.6%, m癌は15.1%, sm癌とmp以深癌は11.3%を占め, R群の中で腺腫は53.0%, m癌は17.8%, sm癌とmp以深癌は29.2%を占め, 結腸に比べて直腸では腺腫の比率は低いものの浸潤癌の比率は高かった. 以上より両者の浸潤癌の発生過程には相違があると推測される.
症例報告
  • 本間 重紀, 益子 博幸, 近藤 征文, 岡田 邦明, 石津 寛之, 川村 秀樹, 三木 敏嗣, 山上 英樹
    2007 年 60 巻 7 号 p. 412-416
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    症例は63歳の女性. 左鎖骨上窩の腫瘤を自覚して来院した. 生検で腺癌のリンパ節転移であった. さらに全身を検索するとS状結腸に2型の癌を認め, Virchowリンパ節転移と判明した. さらに肝転移も認めた. 手術はS状結腸切除, D3郭清を行った. 病理組織学的所見は, 中分化腺癌, SS, N2, P0, H1, M1 (Virchowリンパ節No. 216), Stage IVであった. 術後5'-DFUR 600mg/dayの経口投与と週1回のCPT-11 60mgの点滴静注を開始した. 2カ月後にVirchowリンパ節転移とともにCTで肝転移の消失も確認した. しかし, その後, 術後3年11カ月目に左腋窩リンパ節を触知した. 全身精査で他に転移を認めなかったため, 左腋窩腫瘍摘出術を行った. 病理組織学的所見はS状結腸癌のリンパ節転移であった. 現在, 初回手術後5年4カ月経過し再発なく健存中である. 遠隔転移, 肝転移をともなった大腸癌に対して, 積極的な手術と化学療法により長期生存を得ている稀な症例を経験した.
  • 山川 俊紀, 鈴鹿 伊智雄, 大橋 龍一郎, 塩田 邦彦
    2007 年 60 巻 7 号 p. 417-420
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    大腸全摘, 回腸嚢肛門吻合, ループ式回腸ストーマ造設後に妊娠出産した潰瘍性大腸炎の1例を経験したので報告する. 症例は26歳の女性. 17歳時に中等症, 左側結腸型潰瘍性大腸炎を発症後, 慢性持続型として加療を行ったが寛解増悪を繰り返していた. 24歳時にサイトメガロウイルス感染性腸炎による潰瘍性大腸炎の増悪で3期分割手術予定となり第1期 (結腸亜全摘, ileostomy), 2期 (残存結腸全摘, 直腸粘膜切除, J型回腸嚢肛門吻合, ileostomy再造設) 手術を施行した. 頻便・漏便の不安がない生活を希望し, 第3期手術 (ileostomy閉鎖術) を拒否された. 第2期手術6カ月後に妊娠し, 妊娠中の全身的, 局所的合併症の発生も無く, 第38週に児逆位により帝王切開で出産した. 産科的理由で帝王切開となったが, 腸間膜に余裕が無い回腸嚢肛門吻合に随伴したループ式ileostomy造設後における正常分娩も十分可能であると思われた.
  • 佐藤 正幸, 平賀 雅樹, 椎葉 健一
    2007 年 60 巻 7 号 p. 421-425
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    71歳男性. 胃癌検診で異常を指摘され当院受診, 精査で進行胃癌, 術前の大腸内視鏡検査で横行結腸に粘膜下腫瘍を, 腹部CT・USで胆嚢結石症を認めた. 以上より胃切除術, 胆嚢摘出術, 横行結腸切除術を施行した. さらに, 肝S5に直径8mmの白い小結節を認めたので胃癌の転移を疑い肝部分切除も追加した. 病理組織学的検査で横行結腸は粘膜下層に小さい虫体の死骸を中心に著しい炎症性細胞浸潤を認め, これをとりまいて肉芽反応がcapsule状に形成されていた. 虫体は構造よりアニサキスと同定し大腸アニサキス症と診断した. 肝の結節性病変は出血壊死をとりまいて線維化が目立つ瘢痕結節で寄生虫感染の瘢痕と考えられた. 大腸アニサキス症は稀で, 全アニサキス症の1%以下とされている.
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