日本大腸肛門病学会雑誌
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特集 主題II:大腸憩室疾患―update―
III.大腸憩室炎の診断と内科的治療
飯室 正樹中村 志郎樋田 信幸福永 健松本 譽之
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2008 年 61 巻 10 号 p. 1021-1025

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抄録

大腸憩室症は食生活の欧米化,人口の高齢化にともない近年本邦でも増加傾向にある.また,重篤な合併症もしばしば経験されるようになってきている.以前は,急性虫垂炎との鑑別が困難な場合があったが,近年では,解像度の高いCT検査や超音波検査が普及し,多くの不要な緊急手術が回避可能となった.急性憩室炎に対する内科的治療は外来,入院とも抗生剤を中心としたものとなる.炎症所見はないが腹部症状を有する症例に対しても定期的な経口難吸収性抗生剤投与や食物繊維が有効である事が示されている.さらに,これまで炎症性腸疾患に用いられてきたメサラジンの他,LactobacillusやE. coliといったプロバイオティクス製剤に急性憩室炎の再発予防効果があることが報告され,注目されている.

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© 2008 日本大腸肛門病学会

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