2008 年 61 巻 10 号 p. 1026-1030
S状結腸憩室炎手術は今後日本でも増加する可能性が高く,その現状について腹腔鏡手術の報告を中心に述べた.手術適応は狭窄や瘻孔形成など複雑なもの,そして炎症を繰り返すものにはCT下ドレナージ後に待機手術を行うのが原則である.腹腔鏡手術は良性疾患である大腸憩室炎のよい適応とされる一方,症例によっては炎症や癒着による手術の困難性も指摘されている.腹腔鏡手術を開腹手術と比較した検討では術後合併症の減少,特に創感染の減少がみられ,平均在院日数も開腹手術の半分程度だった.手術時間の差はあまりなくなってきており,再発率にもこれまで差はないようである.一方片手を挿入するHALSは通常の腹腔鏡手術と術後経過もあまり変わらず,開腹移行率は低下している.触覚利用や視野展開で有利な点からHALSをより勧める動きがある.