日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
特集 主題II:大腸憩室疾患―update―
V.合併症を併発した大腸憩室疾患の診断と治療-出血-
福田 眞作三上 達也
著者情報
キーワード: 大腸憩室, 合併症, 出血
ジャーナル フリー

2008 年 61 巻 10 号 p. 1031-1035

詳細
抄録

大腸憩室からの出血の診断と治療には,下部消化管内視鏡が非常に有用である.
憩室からの新鮮血の流出あるいは憩室内に露出血管が確認できれば出血源と診断できる.しかし,大腸憩室は多発していることが多く,実際にはどの憩室から出血しているのかわからないことが多い.自然に止血されることが多い疾患ではあるが,抗血小板薬あるいは抗凝固薬を内服中の場合には自然止血後も再出血する危険があるため注意が必要である.
大腸憩室は筋層を欠く仮性憩室であるため,熱凝固法やエタノール局注などによる止血は,穿孔の危険があり控えるべきである.組織障害の少ないクリップによる止血がもっとも有用である.
内視鏡による診断あるいは治療が困難であり,出血が持続する場合には,タイミングを逃さずに血管造影または外科的手術を考慮する必要がある.

著者関連情報
© 2008 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top