2009 年 62 巻 1 号 p. 14-20
II型痔瘻に対するseton法では,肛門管静止圧は術前と比べて術後ゴム脱落後で有意に低下した.術後6カ月ではゴム脱落後よりも回復傾向を示したが,術前値よりは低値であった.最大随意収縮圧は術前と比べてゴム脱落後,術後6カ月ともに有意な変動はなかった.
術後肛門管静止圧の低下率は,ゴム脱落日数が術後約32日で最も低くなった.また,それ以上にゴムを残存させても,より良い結果は得られなかった.さらにゴム脱落日数と術後愁訴,術後肛門管静止圧の低下率と術後愁訴の間にそれぞれ相関性が得られたことから,術後愁訴の軽減のためにもゴム脱落日数は約32日にすべきであると考えられた.
年齢,術前肛門管静止圧と術後肛門管静止圧の低下率との関係では,若年層,高齢層で低下率が低く,術前肛門管静止圧が高いほど低下率が高かった.これらのことから,諸条件を考慮しゴム脱落を適切にコントロールすることが重要であると思われた.