日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
多量出血をきたした進行直腸癌に対して選択的動脈塞栓術が有効であった1例
鶴田 雅士三浦 弘志森谷 弘乃介白部 多可史
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2009 年 62 巻 1 号 p. 72-76

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抄録

症例は40歳男性.1年前より高度進行直腸癌に対して化学療法を施行するも増悪し,S状結腸にストマを造設した.疼痛緩和目的で放射線療法施行中であったが,ストマおよび肛門より多量の出血を認めたため救急外来受診し,緊急入院となった.入院後止血剤,輸血にて対応するも出血が続くため,血管造影検査を行った.下腸間膜動脈造影にて上直腸動脈より腸管内への造影剤の漏出を認めたため,n-butyl-2-cyanoacrylateにて選択的動脈塞栓術を施行した.その後永眠されるまでの4カ月間に明らかな出血は認めなかった.消化管原発悪性腫瘍からの消化管出血においては,手術不能な場合消極的な対応をとることが多いが,本例のように動脈塞栓術が有用となる場合があり,選択肢の一つとして念頭におく必要があると考えられた.

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© 2009 日本大腸肛門病学会

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