進行癌に対する腹腔鏡下大腸切除術の短期および遠隔期手術成績を検討した.対象:腹腔鏡下切除術を施行した深達度pMP以深の進行大腸癌313例.開腹症例180例を対照とした.結果:腹腔鏡下手術群(LAC)の手術時間は209±70分,術中出血量120±219mlで,開腹術群(OC)と手術時間に有意差を認めず,出血量ではOCよりも有意に少なかった.検索リンパ節数はLAC 18.8±9.8個,OC 15.8±11.2個と有意差なし.術後合併症ではLACで縫合不全が多い傾向を認めたが統計学的な有意差を認めなかった.治癒切除症例295例中46例に再発を認めた(再発率15.6%).再発型式は開腹例と有意差はなかった.LACの累積5年生存率は,Stage I 100%, Stage II 96.5%, Stage IIIa 85.1%, Stage IIIb 66.6%, Stage IV 49.3%(3年)でこれまでの当院の成績と同等と考えられた.まとめ:進行癌に対する腹腔鏡下手術の手術成績はこれまでの当院の成績と同等であり,腹腔鏡下手術導入による予後への悪影響は認められなかった.