2009 年 62 巻 4 号 p. 221-226
目的: 回腸瘻閉鎖術(IC)患者における術後Gastric ileus(GI)の有無を明らかにする.方法: IC患者11例および,開腹結腸切除術(OC)患者21例を対象とし,腹部超音波検査にて胃幽門部面積(PA)を測定し,GIの有無を評価した.また術後第1病日の朝にX線非透過性マーカーを内服,6時間後に腹部単純X線写真を撮影し胃内の残存数を数えた.結果: ICでは,術後3時間·術後第1病日におけるPAはいずれも,術前に比べ有意差を認めなかった.一方,OCでは,術後第1病日におけるPAは術前に比べて有意に増大し(p=0.019),術後第2病日にはほぼ術前値に復した.OCにおける胃内マーカー残存数は13(0∼20)個であったが,ICでは0(0∼13)個であり,胃運動が回復していた.結論: ICでは術後のGIはほとんど認められないと考えられる.