2009 年 62 巻 5 号 p. 334-339
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis,以下UC)に対する大腸全摘術後はSteroid離脱可能となるが,時に腸管外合併症のためSteroid再投与を要する場合がある.今回,大腸全摘術後の多発関節炎に対するメトトレキサート(MTX)の効果を検討した.2001年以降,当科でUCに対する大腸全摘を23例施行し,20例でSteroid中止後関節炎の出現なく経過したが,3例で中止もしくは減量により多発関節炎の増悪を認め,このうち2例でSteroidの再投与もしくは継続投与を要した.3例ともにSteroid総投与量はプレドニン換算で10,000mg以上であった.この3例に対してMTXの少量間欠投与を開始したところ関節炎症状の軽快を認め,1例でSteroid離脱,1例でSteroid減量可能となり,1例でSteroidの再投与が回避できた.UCに対する大腸全摘後発生したUC関連関節炎に対するMTX少量間欠投与は簡便で有効な治療法と考えられ,Steroidの減量·離脱目的で試みるに値すべきtherapeutic optionと思われる.