2010 年 63 巻 2 号 p. 56-60
Bevacizumab使用中の手術は創傷治癒遅延のため投与後4∼6週間以降に施行することが推奨されているが,消化管穿孔などでは緊急手術が必要となる.今回,Bevacizumab使用中に緊急手術行った2例を報告する.症例1,50歳代男性.下行結腸癌同時性肝転移肺転移と診断され,腫瘍によるイレウスに対して人工肛門造設術を施行,その後,腫瘍の後腹膜への穿通に対して結腸左半切除術を施行.8日後に腸腰筋膿瘍に対して洗浄ドレナージ術を施行.症例2,70歳代男性.虫垂粘液嚢胞腺癌,腹膜播種と診断され治療を行っていた.消化管穿孔に対して緊急手術を施行.横行結腸に穿孔部が認められたが高度の癌性腹膜炎の状態であり洗浄ドレナージ術を施行し治療した.Bevacizumab使用時において消化管吻合が可能な場合においても吻合を行わず,人工肛門造設による2期的手術を行い,人工肛門閉鎖については,十分なBevacizumab休薬期間と原疾患の進行状況に合わせてその時期を検討する必要がある.