2010 年 63 巻 4 号 p. 212-216
症例は60歳の男性で,肛門痛を主訴に当院を受診した.内外痔核,随伴性裂肛の診断で手術予定となったが,術前の下部消化管内視鏡検査にてS状結腸に10mm大の隆起性病変を認めた.生検で悪性リンパ腫の疑いと診断された.CT検査,Gaシンチ検査にて全身検索を行ったが明らかな病変は認めなかった.S状結腸原発悪性リンパ腫と診断し,腹腔鏡補助下S状結腸切除術を施行した.病理組織診断ではmalignant lymphoma,B-cell,diffuse large sized cellであった.今回我々はS状結腸原発悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.