抄録
目的:右側結腸癌に対する腹腔鏡下手術群(Laparoscopic surgery群;以下,LS群)と開腹手術群(Open surgery群;以下,OS群)間の臨床成績,医療経済面上の優位性を検討した.対象:2006,2007年度に結腸切除術を施行した右側結腸癌患者のうち,組織学的病期分類がII,IIIの患者を対象とした(LS群25例,OS群17例).腫瘍占居部位はLS群が盲腸(C)7例,上行結腸(A)17例,右側横行結腸(T)1例,OS群が虫垂1例,C 2例,A 14例であった.結果:手術時間がLS群で長かったが,出血量は少なく,入院日数,経口摂取再開時期,合併症併発率は差を認めなかった.経済面では,総入院費用,DPC包括請求分はOS群で高額であったが,1日あたりの入院費用はLS群が高額であった.手術費用はLS群が高額であったが,材料費などを差し引いた手術純利益はOS群が高額であった.考察:LSは術後のquality of life向上には有用な術式であるが,病院経営の観点からみると,手術材料費の圧縮が課題であると考えられた.