日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
硫酸アルミニウムカリウムタンニン酸注射液(ALTA)による内痔核硬化療法後にフルニエ症候群をきたした1例
飯塚 亮二石井 亘檜垣 聡篠塚 健小田 和正大垣 雅晴井川 理泉 浩谷口 弘毅渡辺 賢治
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2012 年 65 巻 2 号 p. 75-81

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抄録

硫酸アルミニウムカリウムタンニン酸注射液(aluminium potassium sulfate・annic acid 以下 ALTA)は内痔核の新しい痔核根治術の一つとして用いられるようになってきた.今回,著者らはALTA注射後にフルニエ症候群をきたした1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は73歳男性,ALTAによる四段階注射療法にて痔核硬化療法を施行された.施行後4日目に発熱,肛門痛を認め,抗生剤投与にて経過観察されたが軽快せず翌日フルニエ症候群と診断し局所麻酔下にてデブリードマンを行い,創部を洗浄後開放創としドレーンを留置した.ALTAを施行した直腸粘膜の部位は腸管の浮腫が著明で炎症による狭窄と粘膜の壊死像を認めた.その後直腸粘膜は壊死し瘻孔を認めた.発症後7ヵ月経過するも瘻孔は残存しているが周囲の浮腫は軽快傾向にある.なおALTA注射後にフルニエ症候群をきたした報告は過去になかった.

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© 2012 日本大腸肛門病学会

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