日本大腸肛門病学会雑誌
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65 巻 , 2 号
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原著
  • 鉢呂 芳一, 安部 達也, 國本 正雄, 佐藤 ゆりか, 鶴間 哲弘
    2012 年 65 巻 2 号 p. 39-42
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    目的:ALTA療法の肛門機能への影響を評価するため肛門管内最大静止圧(MRP)の推移について検討した.方法:対象は2006年5月より2010年2月までにALTA単独内痔核治療を施行し,治療前,一ヵ月後,一年後にMRP値を測定し得た151例.さらに術前のMRP値を用いて高値群,健常値群,低値群の3群に分けて検討した.成績:ALTA治療後のMRP値は健常値に収束するように変化するが,さらに長期間では上昇する症例が散見された.結語:ALTA療法後の肛門機能への悪影響は長期的にみても無いものと考える.特に肛門機能低下症例においては,ALTA療法が効果的に作用する可能性が示唆された.
  • 石部 敦士, 大田 貢由, 辰巳 健志, 諏訪 宏和, 渡辺 一輝, 山岸 茂, 藤井 正一, 市川 靖史, 國崎 主税, 遠藤 格
    2012 年 65 巻 2 号 p. 43-50
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    目的:後期高齢者大腸癌手術における改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)を用いた術後せん妄発生予測の有用性を明らかにする.対象と方法:大腸癌手術を施行した75歳以上の症例のうち,術前にHDS-Rが行われた71症例.失見当識,幻視,幻聴,異常興奮,ルートの自己抜去のいずれかを生じたとき術後せん妄ありとした.術後せん妄発生率と術前HDS-Rの値,術前因子,術中術後因子について検討した.結果:術後せん妄は71例中16例(22.5%)に発生した.単変量解析ではHDS-R<25点,BMI,脳血管疾患の有無,眠剤常用歴が術後せん妄発生の有意な予測因子であり,多変量解析では眠剤常用歴,HDS-R<25点が有意な術後せん妄発生予測因子(odds ratio=6.42,7.313,p=0.049,0.022)であった.結論:後期高齢者大腸癌手術例において,HDS-Rは術後せん妄発症予測に有用である.
症例報告
  • 茂田 浩平, 石井 良幸, 長谷川 博俊, 遠藤 高志, 落合 大樹, 平田 玲, 代永 和秀, 星野 大樹, 星野 好則, 松永 篤志, ...
    2012 年 65 巻 2 号 p. 51-57
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    症例は婦人科癌検診で骨盤腔内腫瘤を指摘され,当院受診した27歳と28歳の女性である.MRI検査では,それぞれ直腸左側に5cm大と6cm大の病変を認め,T2強調像で境界明瞭な高信号を呈する嚢胞性腫瘤を認めた.CT検査では,辺縁に被膜様濃染を認め,明らかな実質構造は認めなかった.2例とも前仙骨部嚢胞性腫瘍と診断し,尾骨合併切除による経仙骨的アプローチにより完全切除を施行した.病理組織学的検査で嚢胞壁内面に重層扁平上皮を認めたが,皮膚付属器構造を認めず類皮嚢腫と診断した.術後は,排便機能障害や再発を認めずに経過している.
    前仙骨部は胎児性組織の遺残物より種々の腫瘤が出現する.胎生期の発達異常に伴うものはdevelopmental cystと言われ,dermoid cyst,epidermoid cyst,tail gut cystに分類される.これらは希ではあるが悪性化の報告もあり,腫瘤の外科的完全切除が望ましい.しかし,本邦での術式の選択基準は確立されておらず,今後更なる検討が必要である.
  • 小木曽 聖, 趙 栄済, 土井 俊文, 田中 順子, 真田 香澄, 河端 秀明, 高谷 宏樹, 濱田 新七
    2012 年 65 巻 2 号 p. 58-64
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    症例は39歳,女性.右臀部圧迫感を主訴に当院を受診した.CTおよびMRIでは後直腸部に嚢胞性腫瘤があり,超音波内視鏡検査では下部直腸後壁側の壁外に多房性で内部が不均一な腫瘤像として観察された.tailgut cystを強く疑い,経仙骨的腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的にも合致する所見であり悪性所見は認めなかった.超音波内視鏡検査は腫瘤内部の詳細な観察が可能であり,本疾患の有用な補助診断法と考えた.
  • 佐谷 徹郎, 渡辺 善徳, 島崎 二郎, 本橋 行, 春日 照彦, 田渕 崇伸, 中地 健, 後藤 悦久, 中田 一郎, 田渕 崇文
    2012 年 65 巻 2 号 p. 65-69
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    症例は40歳,女性.バリウムによる上部消化管造影検査を施行2日後より腹痛出現し,近医受診した.消化管穿孔疑いと診断され当院紹介となった.CT検査ではS状結腸にバリウムの貯留を認め,その周囲に異常ガス像を認めた.消化管穿孔疑い,腹膜炎の診断にて緊急手術を施行した.S状結腸の一部が壊死しており,同部の腸間膜側には気腫状の変化を認めた.S状結腸を部分切除し,人工肛門を造設した.標本を切り開いたところS状結腸の腸間膜側にバリウムの塊がはまり込んでおり,これを取り除くと3.5×2.5cmの穿孔を認めた.穿孔部位には肉眼的に腫瘍,憩室などは認めなかった.病理所見では穿孔部位に血栓,塞栓の形成は認めず,悪性所見も認めなかった.術後経過は良好で退院となった.約4ヵ月後に人工肛門閉鎖術施行し,その後の経過は良好である.バリウムによる上部消化管造影検査後に大腸穿孔を起こした症例を文献的考察を加えて報告した.
  • 倉地 清隆, 中村 利夫, 中村 光一, 澤柳 智樹, 原田 岳, 原 竜平, 間 浩之, 今野 弘之
    2012 年 65 巻 2 号 p. 70-74
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    結腸癌術後腹膜再発は播種性再発が多く,予後不良であるが,まれに孤立性に腹膜転移を認める.S状結腸癌術後の直腸膀胱窩孤立性再発に対して再切除を施行し長期生存を得た症例を経験したので,本邦報告5例の文献的考察とともに報告する.症例は54歳男性でS状結腸進行癌に対しS状結腸切除術D3郭清を施行.病理組織学的診断はType 2,pSS,pN0,P0,H0,R0,高分化型腺癌,Stage II であった.術後16ヵ月目よりCEAの上昇を認め,Fluorodeoxyglucose-positoron emission tomography(以下FDG-PET)CT検査で直腸膀胱窩の直腸右側壁に径15mmの腫瘍を認めた.吻合部および他臓器への転移再発なく,孤立性腹膜転移再発,根治切除が可能と判断し,初回術後24ヵ月目に低位前方切除術を行った.病理組織型は初回手術同様の高分化型腺癌であった.再切除後5年2ヵ月無再発経過観察中である.
  • 飯塚 亮二, 石井 亘, 檜垣 聡, 篠塚 健, 小田 和正, 大垣 雅晴, 井川 理, 泉 浩, 谷口 弘毅, 渡辺 賢治
    2012 年 65 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    硫酸アルミニウムカリウムタンニン酸注射液(aluminium potassium sulfate・annic acid 以下 ALTA)は内痔核の新しい痔核根治術の一つとして用いられるようになってきた.今回,著者らはALTA注射後にフルニエ症候群をきたした1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は73歳男性,ALTAによる四段階注射療法にて痔核硬化療法を施行された.施行後4日目に発熱,肛門痛を認め,抗生剤投与にて経過観察されたが軽快せず翌日フルニエ症候群と診断し局所麻酔下にてデブリードマンを行い,創部を洗浄後開放創としドレーンを留置した.ALTAを施行した直腸粘膜の部位は腸管の浮腫が著明で炎症による狭窄と粘膜の壊死像を認めた.その後直腸粘膜は壊死し瘻孔を認めた.発症後7ヵ月経過するも瘻孔は残存しているが周囲の浮腫は軽快傾向にある.なおALTA注射後にフルニエ症候群をきたした報告は過去になかった.
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