日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
自動縫合器挿入時の肛門裂傷へのimplantationと考えられた直腸癌術後肛門管再発の1例
東 幸宏丸尾 啓敏
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2012 年 65 巻 4 号 p. 235-238

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抄録

72歳,男性. 2008年2月,直腸癌に対して低位前方切除術,リンパ節郭清(D3)を施行した.切除検体病理所見は,高分化型腺癌,pSS,pN0,sP0,sH0,ly0,v0,pStage IIと診断された.術後経過は良好で術後14日目に退院となった.術後補助化学療法は行わずに経過観察していた.術後2年が経過した2010年2月,5時方向の肛門管に長径1cm大の1型の隆起性病変を認め,生検にて腺癌と診断された.精査ののち2010年3月手術を行った.リンパ節郭清の必要性,肛門機能障害の危険性を考慮し,術式は腹会陰式直腸切断術を選択した.病理学的には,直腸癌の肛門管再発と診断された.本症例の再発形式として手術時の自動吻合器での肛門裂傷に原発直腸癌がimplantationした可能性が最も考えられた.直腸癌術後のimplantationによる再発部位は吻合部が一般的であり,肛門管はきわめてまれである.若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2012 日本大腸肛門病学会

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