日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
結腸十二指腸瘻を形成した上行結腸癌の1例
豊田 和広高橋 忠照池田 昌博倉吉 学田口 和浩万代 光一
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2012 年 65 巻 8 号 p. 458-462

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抄録

結腸十二指腸瘻を形成した進行結腸癌に対し,化学療法後切除手術を施行した症例を経験した.患者は42才男性.貧血の精査のため上部・下部内視鏡検査,CT検査を受け,上行結腸癌の十二指腸直接浸潤,瘻孔形成と診断され当科に紹介となった.CT所見で腫瘍は下大静脈に接しており直接浸潤が疑われたため,術前化学療法としてFOLFIRI療法を行った.5コース終了時には結腸十二指腸瘻は残存していたが,CT検査では腫瘍は縮小傾向にあり下大静脈への直接浸潤は否定的で,切除可能と判断した.手術は結腸右半切除,膵頭十二指腸切除術,D3郭清とした.病理所見では低分化腺癌,SI(十二指腸),N0,stage II,根治度Aであった.術後4年以上再発所見はない.大腸癌は他臓器浸潤癌であっても完全切除が望ましい.十二指腸浸潤では膵頭十二指腸切除が必要な場合もあり侵襲が大きくなるが,合併切除により予後の改善が期待できると考えた.

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© 2012 日本大腸肛門病学会

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