2013 年 66 巻 2 号 p. 77-79
目的:III,IV型の肛門周囲膿瘍で切開排膿した症例における,無症状に経過する症例の割合やそれに影響を及ぼす因子について検討し,IILA型との比較も施行した.対象・方法:肛門周囲膿瘍(IILA,III,IV型)の診断で切開排膿した330症例を対象とし,IILAと深部膿瘍(III,IV型)のタイプに分けて比較検討した.また,有症状に関するリスク因子についても検討した.結果:症状の有無においてタイプ間で有意差を認め(P<0.01),『症状あり』がIILA:35%,深部膿瘍:71%であった.考察:深部膿瘍の切開後に,無症状症例の存在が明らかになったことは臨床的に有意義である.今後,痔瘻についてさらなる精査・検討が臨まれる.