2013 年 66 巻 7 号 p. 522-528
症例は66歳から88歳までの6例.腹痛や嘔吐の精査目的で施行したCT検査で腸管気腫像を認めた.3例で腹腔内遊離ガス像が,他の1例で門脈ガス像が描出され,腹水を3例に認めた.また,閉塞性肺疾患2例,リスペリドン服用3例,α-グルコシダーゼ阻害剤服用1例,ステロイド剤服用1例,便秘傾向3例と,腸管嚢胞状気腫症の誘因となり得る既往歴や薬の服用を全例で認めた.身体所見や検査結果から消化管穿孔や腸管壊死などを除外し,原因薬剤の中止を含めた保存的治療を施行し軽快した.腸管嚢胞状気腫症の病態を認識していたことが試験開腹術を回避し得た理由のひとつと考えられ,文献的考察を加えて,6例の経過を報告する.