2014 年 67 巻 1 号 p. 51-57
今回,われわれは直腸癌術後の腹壁転移に対して腹壁切除を施行し,ParietexTM Composite Meshを用いて腹壁を再建した症例を経験したので報告する.症例は74歳男性で2007年に直腸癌に対して低位前方切除術を施行し,術後補助療法としてtegafur-uracilの投与を行った.2008年に吻合部位再発をきたしたため腹会陰式直腸切断術を施行し,術後に骨盤底部に放射線照射(50Gy)を施行し,その後はS-1(80mg/日,4週投与・2週休薬)の継続投与を1年間行った.2011年に正中創直下の腹壁に孤立性転移を認め,panitumumab + mFOLFOX6を12コース施行した後,他の再発・転移巣を認めなかったため2012年に腹壁切除術を施行した.腹壁切除部は11×10cmと大きな欠損となったため,人工肛門を考慮したメッシュによる腹壁再建術を施行した.現在,術後12ヵ月が経過したが無再発生存中で,再建部とストーマ周囲のトラブルを認めず順調に経過している.