原発性小腸癌は稀な消化管悪性腫瘍で,診断・治療は確立されていない.当科で経験した5例に加え本邦報告178例を合わせた計183例の臨床病理学的特徴・診断・治療について検討した.当科の症例を含め報告例の大多数が進行例であった.早期発見には,多くの病変が上部空腸と下部回腸に存在することから,上部・下部消化管精査時に小腸病変も念頭に置くこと,また原因不明の貧血例では積極的な小腸の精査が必要と考える.
(1)66歳男,検診の上部消化管造影検査にて空腸癌を指摘され根治術施行した長期生存例.(2)72歳男,下行結腸浸潤を伴った空腸癌.(3)60歳女,既往・家族歴より遺伝性非ポリポーシス大腸癌関連小腸癌と診断した回腸癌.(4)64歳女,腹膜播種を伴う進行癌ながら術前診断しえなかった空腸癌.(5)70歳男,多発肝転移を伴い術後化学療法行うも予後不良であった空腸癌.
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