日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
細径鉗子を用いた腹腔鏡・内視鏡合同手術(Laparoscopy Endoscopy Cooperative Surgery;LECS)を施行した横行結腸神経鞘腫の1例
向井 俊貴福長 洋介大野 吏輝友利 賢太池田 篤志永田 淳長嵜 寿矢秋吉 高志小西 毅藤本 佳也長山 聡上野 雅資千野 晶子為我井 芳郎五十嵐 正広
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キーワード: 細径鉗子, LECS, 神経鞘腫
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2014 年 67 巻 3 号 p. 178-182

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抄録

腹腔鏡・内視鏡合同手術(Laparoscopy Endoscopy Cooperative Surgery;LECS)は,腹腔鏡と内視鏡を併用し,粘膜下腫瘍の過不足ない切除を行う手技である.われわれは横行結腸粘膜下腫瘍に対して細径鉗子を用いたLECSにて横行結腸楔状切除を施行した.症例は63歳男性.下部消化管内視鏡検査で横行結腸に28mmの粘膜下腫瘍を認め,Gastrointestinal stromal tumor(以下GIST)が疑われ,腹腔鏡下手術の方針となった.手術は臍12mm,右下5mm,右上・左上下3mmの5ポート法で施行した.腹腔鏡下に大網および横行結腸間膜の直動脈を最低限処理し,腫瘍漿膜面を露出した.内視鏡下に粘膜下層までを切開し,腸壁の一部を意図的に穿孔させた.腹腔鏡下に超音波凝固切開装置を穿孔部に挿入し,粘膜下層切開に沿って全層切開し,内視鏡下に腫瘍を回収した.腸壁欠損部は自動縫合器で閉鎖した.術後経過良好で5日目に退院,神経鞘腫と病理診断された.LECSは小開腹を必要とせず経肛門的に腫瘍の摘出が可能で,低侵襲で整容性の優れた術式と考えられた.

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© 2014 日本大腸肛門病学会

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