日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
mFOLFOX6療法中にたこつぼ型心筋症を発症した進行大腸癌の1例
小郷 桃子中島 紳太郎宇野 能子武田 光正友利 賢太北川 和男阿南 匡小菅 誠衛藤 謙小村 伸朗矢永 勝彦
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2015 年 68 巻 2 号 p. 103-108

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抄録

肝転移を伴った非切除進行大腸癌のmFOLFOX6療法中に発症したたこつぼ型心筋症の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は74歳の男性で上行結腸癌・多発肝転移・右副腎転移に対して2012年11月よりmFOLFOX6療法を導入した.投与開始後3日目に呼吸苦とふらつきを訴え,心電図でI,II,III,aVF,V2~V6で陰性T波と血流支配に一致しないT波異常を認めた.冠動脈造影CTで有意な狭窄はなく,心エコーで心尖部にhypokinesisを認め,たこつぼ型心筋症と診断された.ヘパリン・酸素投与にて速やかに軽快し,発症から9日目に退院となった.化学療法中にたこつぼ型心筋症を発症した本邦報告は自験例を含め13例と稀である.5-FU投与で冠動脈の攣縮が誘発されたとの報告があるが,直接の関与は明らかではない.担癌状態であることと化学療法の身体的・精神的ストレスが発症に関与した可能性が示唆された.

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© 2015 日本大腸肛門病学会

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