2015 年 68 巻 2 号 p. 97-102
症例は76歳女性.直腸癌に対し腹会陰式直腸切断術を施行.術後経過観察中に腹膜外経路で挙上したS状結腸に虚血性変化が加わり,ストーマ周囲炎を併発した.保存的加療で軽快したが,治癒経過でストーマの狭窄と粘膜皮膚接合部に全周性の肉芽が形成された.排便可能であるがパウチ貼付が困難となったため,術後約1年目に局所麻酔下に全周性に肉芽切除と皮弁形成術施行した.形成後は,パウチ貼付が容易となった.ストーマ造設において,特に肥満患者では挙上経路を考慮する必要がある一方で,装具貼付困難となるような肉芽形成に対しては,局所皮弁手技での形成術は容易であり,患者に与える侵襲も少ない.簡便に施行できる形成外科的手技は,ストーマ周囲に対する形成にても有用な手術手技の1つと考える.