日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
Tacrolimus抵抗性の重症潰瘍性大腸炎に対しinfliximabが著効した1例
高橋 史成中野 正和星野 敦菅谷 武史星野 美奈富永 圭一平石 秀幸
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2015 年 68 巻 2 号 p. 81-85

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抄録

症例は40歳の男性.潰瘍性大腸炎(UC)で第1回入院時にステロイドを投与するも抵抗性であり,血球成分除去療法により寛解導入に至った.その後,免疫調整剤を併用するも再燃を繰り返し,第2回入院となった.入院時の臨床的重症度は重症であり,下部消化管内視鏡検査では自然出血を伴う炎症粘膜と多発潰瘍を認めた.入院後にTacrolimus(以下Tac)を導入するも改善なく,Tac抵抗性と判断した.手術を検討したが,Tacを中止しinfliximab(以下IFX)を導入したところ,症状の著明な改善を認め,寛解導入に至った.退院後もIFX維持療法を継続し,IFX導入6ヵ月後の下部消化管内視鏡検査では粘膜治癒が確認された.
重症UCに対する治療戦略の確立が必要であるが,TacとIFXの使い分けについては一定のコンセンサスが得られていない.重症例に対する両薬剤の選択基準について文献的考察を含めて報告する.

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© 2015 日本大腸肛門病学会

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