日本大腸肛門病学会雑誌
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主題II:感染性腸炎―up to date―
IV.サイトメガロウイルス腸炎と潰瘍性大腸炎に合併するサイトメガロウイルス腸炎
大川 清孝青木 哲哉上田 渉佐野 弘治小野 洋嗣中内 脩介
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2018 年 71 巻 10 号 p. 470-481

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抄録

サイトメガロウイルス(CMV)腸炎は免疫不全症や集中管理を要する重症患者が背景として多い.内視鏡像では打ち抜き様類円形潰瘍のみでなく,輪状傾向潰瘍,帯状潰瘍,縦走潰瘍,二段潰瘍などの存在,多彩な潰瘍の混在などがあれば,本症を疑う必要がある.診断には病理学的検査(HE染色による核封入体の検出とCMV免疫組織検査によるCMV抗原の検出)やCMV抗原検査が用いられるが,偽陰性が多いのが問題である.
潰瘍性大腸炎(UC)においてステロイド抵抗性や難治性の場合にCMV腸炎合併を疑う必要がある.病理学的検査とCMV抗原検査は,特異度は高いが偽陰性が多い.粘膜CMV-DNA検査は感度,特異度とも高いが,抗ウイルス療法の適応を決めるには疑陽性が多くなるため,適正なcut off値を決める必要がある.両疾患ともCMV検査が陰性であっても,臨床的にCMV感染症を強く疑えば,診断的治療が必要なこともある.

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© 2018 日本大腸肛門病学会

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