実地臨床における大腸通過時間検査の診断能を分析し,その臨床的意義について検討した.慢性的な便秘症状のために当院を受診し,X線不透過マーカー法による大腸通過時間検査を行った184例(平均年齢67歳,女性109例)を対象とした.SITZMARKS®を1カプセル服用して,3日後または5日後に腹部X線を撮影し,残存マーカー数をカウントした.マーカー服用後3日目に撮影した170例のうち,64例(38%)が大腸通過遅延型(マーカーが40%以上残存)であった.大腸通過遅延型のマーカー分布はrectosigmoid(31例)とleft colon(23例)が多かった.残存マーカー数と便秘の重症度の間には有意な相関関係は認められなかった(rs=0.086,p=0.237).大腸通過時間検査に伴う副作用は1例も認めなかった.日本人を対象として大腸通過時間検査を行い,海外での成績と同等の結果が示された.