2021 年 74 巻 3 号 p. 153-161
目的:メサラジン最大用量を内服しても効果不十分な潰瘍性大腸炎の治療選択肢として,ブデソニド注腸フォーム剤(BF)の有用性を後方視的に検討した.
方法:当院において最大用量経口メサラジン内服治療下にBFを朝夕2回使用した患者で,投与前後の内視鏡評価の行われた16例を対象とした.病勢評価はMayoスコアを用いた.
成績:平均52.1日のBF治療により,Mayoスコアおよび内視鏡所見サブスコア(MES)の有意な低下を認めた[開始前Mayoスコア5.1±2.3,MES 2.1±0.6に対して,BF治療後1.9±2.6(p<0.001),0.7±0.8(p<0.001)].マルチマトリックスシステム(MMX)メサラジン最大用量内服11例での完全粘膜治癒率は36.4%であり,他の局所療法からBFに変更した9例においても44.4%であった.
結論:メサラジン最大用量内服患者において,BFの有用性が確認できた.