日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
稀なリンパ節転移形式を示したBRAF変異型MSI-high盲腸癌の1例
吉田 亮介宇野 太山下 和城
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2021 年 74 巻 3 号 p. 179-183

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抄録

75歳,女性.右下腹部痛を主訴に受診した.CT検査で領域リンパ節転移を伴う盲腸癌と診断し,さらに大動脈周囲リンパ節への転移を疑う所見を認めた.回盲部切除術,D3リンパ節郭清術,大動脈周囲リンパ節のサンプリングを施行し,病理組織学的検査で腸管傍リンパ節と大動脈周囲リンパ節に転移を認めた.術後右外腸骨動脈周囲リンパ節に再発をきたし,全身化学療法を施行した.その後新病変を認めず,初回手術の1年9ヵ月後に大動脈周囲から同部位に至る範囲のリンパ節郭清術を施行した.その3ヵ月後に右下腹壁動脈周囲リンパ節,5ヵ月後に小腸間膜リンパ節に再発を認めた.原発巣の組織を用いた検査で,BRAF V600E遺伝子変異陽性とMSI-highの結果を得た.大腸癌の遠隔リンパ節への転移形式について,BRAF遺伝子変異やMSI,原発部位との関連性を含めた更なる検討が期待される.

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© 2021 日本大腸肛門病学会

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