日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
腹腔鏡下経腹経仙骨的切除を施行した仙骨前面から臀部皮下に広がるtailgut cystの1例
河原 直毅鈴木 佳透酒井 悠前島 新史島田 岳洋
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2022 年 75 巻 4 号 p. 170-175

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抄録

症例は臀部痛を主訴に受診した36歳女性.腹部CTと骨盤MRIにおいて尾骨を跨ぎ,臀部皮下に達する前仙骨嚢胞性腫瘍を認めた.画像所見からtailgut cystが疑われた.経時的に増大傾向であり悪性化の可能性を考慮し根治切除の方針となった.手術は腹腔鏡を併用して経腹経仙骨的に行った.5ポートで経腹的に直腸の授動を行い,直腸背側に前仙骨嚢胞性腫瘍を同定したのちに腹部は閉創し,腹臥位に体位変換を行った.最後に経仙骨的アプローチにより尾骨とともに腫瘍を切除した.術後は特に合併症なく,退院となった.腫瘍は病理学的所見からtailgut cystの診断となった.腹腔鏡下経腹経仙骨的手術によって根治的切除と骨盤内神経の温存を低侵襲に行い良好な経過を得たため,文献的考察を含めて報告する.

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© 2022 日本大腸肛門病学会

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