2022 年 75 巻 5 号 p. 242-246
症例は79歳男性.主訴は脱肛.直腸指診,肛門鏡および大腸内視鏡検査で肛門7時方向に表面平滑な球状の柔らかい褐色の大きな腫瘤を認めた.MRI検査で内部壊死を認めない6cm大の線維性腫瘤と診断された.巨大な線維性肛門ポリープと術前診断し,腰椎麻酔下に切除した.腫瘤は6.0×3.8×3.5cmで,病理組織学的にはCD34陽性の間質細胞が豊富な線維性肛門ポリープと診断された.4cmを超える線維性肛門ポリープは稀であるため,報告例を集計し自験例を含めた7症例を比較検討した.大きな線維性肛門ポリープの多くは有症状で孤立性であり,長い病悩期間を有していた.本例のように褐色調で柔らかいポリープの報告例も認められた.