2022 年 75 巻 7 号 p. 366-369
症例は52歳男性.便潜血陽性精査目的の下部消化管内視鏡検査で,脾弯曲部近くの横行結腸に2cmほどの0-IIa+IIc病変を指摘され,当科紹介となった.内視鏡上は粘膜下層深部浸潤が疑われ,cT1bN0M0 cStageIの術前診断で,腹腔鏡下横行結腸部分切除術(D2郭清)を施行した.術後経過は良好だった.摘出標本の病理組織所見は,カルチノイド類似像と腺癌類似像の両方を呈し杯細胞型カルチノイドの診断であった.pT3N1bM0 pStageIIIbの術後診断となり,腺癌に準じて術後補助化学療法としてCAPOX療法を4コース施行した.現在術後2年半が経過し,無再発生存中である.虫垂以外の大腸を原発とする杯細胞型カルチノイドは今まで数例の報告があるのみであり,虫垂原発例と比較して報告する.