2023 年 76 巻 10 号 p. 641-649
【緒言】ロボット支援手術が普及する中,開腹や腹腔鏡手術を十分に経験しないまま,ロボットを執刀する外科医の増加が予想されるが,その教育方法は議論を要する.
【目的】当分野のロボット術者教育を紹介する.また最新の手術支援ロボットと将来展望について概説する.
【方法】日本内視鏡外科学会からの指針に準じて設定した,当分野のロボット術者基準と教育の実際について提示する.若手術者へのアンケートおよび周術期成績を解析し,過去の文献を交えながら,ロボット支援手術の教育体制についてまとめる.
【結果】当分野の若手外科医によるロボット支援手術は安全に施行できており,教育効果も高かった.新規手術支援ロボットは,触覚の欠如についての問題点や遠隔手術の実現などに向けて開発および改良が進められている.
【結語】ロボット術者教育および新規手術支援ロボットのさらなる発展は,若手外科医のモチベーション維持にも寄与し今後注力すべき課題と考えられる.