2023 年 76 巻 4 号 p. 320-325
目的:直腸脱の経腹的吊り上げ固定術の手術成績について検討を行った.
対象:2012年から2019年までの94症例.
結果:開腹術24例,腹腔鏡手術70例.平均年齢72.3歳(17-93),男性10例,女性84例.平均脱出長4.3cm(1-10).初回手術症例55例,再発症例39例(再再発以上8例).平均手術時間は開腹縫合固定148分,腹腔鏡下縫合固定143分,腹腔鏡下ventral rectopexy 229分.再発は8例(8.5%)に認められた.再発例で前治療が縫合固定例では,すべて腸管側の固定が外れており,組織脆弱や浅く狭い運針により固定部腸管漿膜筋層が裂けて再発をきたしていることが推測された.
結語:経腹的吊り上げ固定時には特に縫合固定時に腸管の組織脆弱性に十分注意し,確実な固定を行うことが重要である.