2023 年 76 巻 7 号 p. 460-466
背景と目的:大動脈周囲リンパ節(以下216LN)転移陽性大腸癌に対しては,外科的切除により一定の頻度で根治や生存期間の延長を得られると報告されている.216LN切除の適応と意義を明らかにする.
対象と方法:当院で216LN切除を伴う外科切除を行い,術後病理で216LN転移陽性であった大腸癌22例を解析した.
結果:22例の3年全生存率(3yr-OS)は50.0%であった.216LN転移以外の遠隔転移のないM1a症例12例の3yr-OSは70.7%であり,特に術前CEA値<9.0ng/mlの症例の3yr-OSは85.7%で,216LN転移個数が3個以下の症例の3yr-OSは100%と良好であった.
結語:他に遠隔転移がなく,術前CEA値<9.0ng/mlや,216LN転移個数が3個以下の大腸癌は,216LN切除を伴う根治的外科切除により予後が改善しうる.