2023 年 76 巻 7 号 p. 480-483
症例は64歳女性.下部直腸癌に対して術前化学放射線療法後に腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術,右側方リンパ節郭清術を施行した.術後会陰創の離開および多量の排液があり,腹部CT検査で右側方リンパ節郭清領域に液体貯留を認めた.術後リンパ嚢胞の診断でCTガイド下穿刺ドレナージを施行し,ドレーン留置のまま外来で経過をみていた.術後56日目に腹痛および右鼠径部痛で来院し,腹部CT検査でドレーンの逸脱およびリンパ嚢胞の増悪を認めた.右鼠径リンパ節穿刺によるリピオドールを用いたリンパ管造影を施行したところ,症状の改善を認め,15日目に退院となった.
直腸癌側方リンパ節郭清術後の難治性リンパ嚢胞に対するリピオドールを用いたリンパ管造影の有用性について,文献的考察を含め報告する.