日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
家族性大腸腺腫症に併存した下部進行直腸癌に対して術前化学放射線治療後に大腸全摘術を施行した3例
高山 裕司宮倉 安幸水澤 由樹田巻 佐和子初沢 悠人福井 太郎柿澤 奈緒力山 敏樹
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2024 年 77 巻 1 号 p. 56-61

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抄録

下部進行直腸癌に対する術前化学放射線治療(CRT)は欧米では標準治療と考えられているが,家族性大腸腺腫症に伴う下部進行直腸癌症例におけるCRTの報告はほとんどなく,その有用性は明らかではない.今回経験した3症例の治療経過について報告する.症例は50-60代の男性2例,女性1例で,臨床病期はすべてT3N0M0,StageIIであった.全例で術前化学放射線治療後に大腸全摘術を施行し,1例では回腸嚢肛門吻合術を,他2例では永久的回腸人工肛門造設術を施行した.全例で予防的側方郭清は施行せず,病理組織学的所見における治療効果はそれぞれGrade 1a,Grade 2,Grade 3であった.全例で6年以上経過観察し,再発は認めていない.

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© 2024 日本大腸肛門病学会

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