日本大腸肛門病学会雑誌
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臨床研究
TaTME症例におけるdefunctioning stoma非造設基準の妥当性の検討
榎本 浩也諏訪 勝仁山澤 海人北川 隆洋牛込 琢郎岡本 友好衛藤 謙
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キーワード: TaTME, 縫合不全, 人工肛門
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2024 年 77 巻 2 号 p. 84-88

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抄録

目的:Transanal total mesorectal excision(TaTME)症例におけるdefunctioning stoma(DS)非造設基準を検討した.

方法:腫瘍下縁が下部直腸に存在し自動吻合器による再建を行ったTaTME症例を対象とし,DS非造設基準をring completeかつリークテスト陰性であった場合とした.手術は全例2チーム同時,吻合はsingle stapling techniqueで行った.吻合部には直視下で16針の追加縫合を行った.主要評価項目を縫合不全とし後方視的に検討した.

結果:原発癌25例,神経内分泌腫瘍3例,吻合部再発2例を対象とした.25/30例(83.3%)でDSを造設しなかった.DS非造設症例のうち2例で縫合不全を認めた.いずれも男性,糖尿病患者,術後7日目以降の発症であった.骨盤底ドレーン抜去後であり緊急でDS造設を行った.初回DS造設症例のうち1例で縫合不全を認めたが,経肛門的にドレナージを行い保存的に改善した.

結論:われわれのDS非造設基準では,非造設症例の2/25例(8%)に縫合不全を認めた.より厳格な基準や吻合・補強法などの改善が望まれる.

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© 2024 日本大腸肛門病学会

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