肛門管長には括約筋の厚さで規定される外科学的肛門管長と肛門上皮(anoderm)で規定される解剖学的肛門長とがあり,これまで両者がいささか混同されて用いられてきた.新しく作られた大腸癌取扱い規約においてもこの例にもれない.
このことは一面では両者のいずれもがそれぞれ意義を有していることを示しているとも云える.
著者は肛門疾患を有しない成人の男性140例,女性32例,計172例においてそれぞれ外科学的および解剖学的肛門管長を測定し,下記の如き平均値を得たので報告する.また外科学的肛門管を括約筋性肛門管,解剖学的肛門管を肛門上皮性肛門管と呼称すれば銘記が容易で混同を避けられると考え,ここに提唱したい.