肛門小窩,導管,腺を一括して痔瘻の原発巣として考えることは,一般に定着しているといってよい,就中,肛門小窩は感染源として重視され,これを無視した痔瘻の治療法はあり得ない.私は,経験と理論から,肛門小窩は,感染経路以上の意味は少いもので,一度炎症が肛門腺に及べば,多くは閉塞して膿瘍化し,原発巣の主体をなすものと考えた.そして,肛門腺を中心とした原発巣の切除を行うことにより,肛門管粘膜を温存させつつ治癒せしめることを知った.(mucosa preserving fucosectomy).その結果術後の機能保全のみならず,術後の愁訴の大半を軽減,また解消せしめることができた.また,原発巣の意義について,改めてその意義を認めるのと同時に,原発巣の解釈について認識を新にする結果となった.ここに,MPFの基本的手術手技について,単純痔瘻,膿瘍を例として述べたい.