血便を主訴に来院した49歳,男性の直腸カルチノイドの一例を経験したので,その概略とともに若干の文献的考察を加え報告する.
カルチノイドは比較的まれな疾患であるが,その発生部位により前・中・後腸系に分類され.後腸由来の直腸カルチノイドはargentaffin, argyrophil反応共に陰性であるとされてきた.しかし,最近では,より敏感なGrimelius染色をすれば,後者が陽性のものも多いとされ,我々の症例でもGrimelius染色を施行したところ陽性顆粒が認められた.カルチノイドの大きさと悪性度とは,統計的に大きく関連性がみられるため,治療方針もその大きさにより決定されるべきものと思われる.