日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
大腸多発癌の検討
特に癌家族歴と腺腫併存の関係について
小鍛冶 明照池 秀之高橋 孝太田 博俊加藤 洋
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 37 巻 1 号 p. 30-37

詳細
抄録

1980年12月までに当科で経験した大腸多発癌98例 (同時性多発大腸癌66例, 異時性多発大腸癌32例) を1253例の単発癌根治手術症例と比較検討した.発生頻度は同時性多発大腸癌4.0%, 異時性多発大腸癌2.0%であった.異時性多発大腸癌は他の2グループに比らべ若年者に発生し, 右側結腸領域の癌の占める頻度及び大腸癌の家族歴を有する頻度が有意に高く, その発生には遺伝因子の関与が強く推察された.腺腫の併存は同時性多発大腸癌で有意に高いが, 腺腫の併存と癌家族歴の間には3グループとも関連性を認めなかった.
異時性多発大腸癌は第一癌が盲腸又は上行結腸に発生する型と直腸またはS状結腸に発生する型に分けられ, 両者の臨床像には明確な相違点を認めた.

著者関連情報
© 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top