日本大腸肛門病学会雑誌
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Amoxicillinによる急性出血性腸炎の1例
宮田 潤一米山 桂八固武 健二郎原 彰男林 亨白井 正広
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1984 年 37 巻 2 号 p. 128-131

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抄録

Atnoxicillinによって発症したと考えられる, 経時的に大腸内視鏡検査が可能であった, 急性出血性腸炎の1例を, 若干の考察を加えて報告した.症例は55歳男性で, 腹痛, 血性水様便を主訴として来院. 大腸内視鏡検査にて, 直腸, S状結腸の粘膜浮腫, 出血斑, 発赤を認め, また総経口量7.5gのAmoxicillinの服用より, 薬剤性急性出血性大腸炎と診断した.抗生物質の投与中止, 絶食, Salazosulfapyridine坐薬の投与を開始した。治療開始8日目に, 症状は軽快し, 大腸内視鏡検査にて, 病変の著明な改善を観察した.その後, 経口摂取開始し, 順調に経過, 第16病日に退院した.退院後, 21日目の内視鏡検査では, 病変の再燃はなく, 正常な大腸粘膜が観察された.
多種多様の抗生物質が使用され, 更に出血性大腸炎の頻度は増加すると考えられるため, 下血患者に遭遇時, 服用薬剤の問診と, 早期の大腸内視鏡検査の施行が必要である.

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