日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
直腸癌のCT診断
特に壁深達度とリンパ節転移について
神田 裕蜂須賀 喜多男山口 晃弘磯谷 正敏深田 伸二石橋 宏之加藤 純爾松下 昌裕小田 高司原川 伊寿
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 39 巻 3 号 p. 213-217

詳細
抄録

直腸癌の壁深達度とリンパ節転移についてCT所見と病理組織学的所見とを比較した.対象は術前にCT検査を施行し,切除標本と比較検討できた35例で,検査に際してオリーブ油を200~400ml注腸し,60%Conrayを100ml点滴静注した.壁深達度は35例中28例(80%)に正診でき,とくに下部直腸癌では19例中16例(84%)と高い診断率がえられた.誤診例のおおくは浸潤と癒着の鑑別が困難で腫瘤影の範囲を読みすぎた症例であった.一方,壁在リンパ節転移は35例中26例(74%)に正診でき,側方リンパ節転移も17例中15例(88%)に正診できた.リンパ節の質的診断は困難だが,大きさ0.5cm以上を転移陽性として比較的良好な結果がえられた.以上の結果から,CTは壁深達度とリンパ節転移の診断に有用と考えられた.

著者関連情報
© 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
次の記事
feedback
Top