日本大腸肛門病学会雑誌
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血液成分の多変量解析による大腸癌スクリーニングの試み
沢田 寿仁小林 和生北村 隆信池永 達雄中嶋 邦彦中山 年正北村 元仕
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1986 年 39 巻 3 号 p. 223-231

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抄録

日常一般に行なわれている血液成分の多変量解析が大腸癌のスクリーニング法として有効,有用かの検討を行なった.
変数増加法による多変量管理図法を用いて大腸癌を検出するのに有効な変数,つまり,検査項目を求めた結果,大腸癌の判別には『CEA』,『Hb』,『Alb-α2-Glob』の三者の組み合せが有効であることがわかった.この三者を用いてマハラノビス汎距離より大腸癌判別式(D2)を求めた.その結果,D2≧7.81が陽性=大腸癌と判別される.
この大腸癌判別式を用いた検証結果は大腸癌(D2<7.81,CEA≧5の6例を含む)66.1%,健常者,4.1%,胃癌,36.1%,肺癌,55.6%,注腸造影検査症例(大腸癌除く)34.0%の陽性率を示した.つまり,スクリーニングの母集団(この場合は健常者)の陽性率が4.1%,偽陰性率が33.9%,偽陽性率が34.0%であり,これは便潜血テストの結果に匹敵し,スクリーニング法として有効,有用であることを表している.
今後はスクリーニングの母集団を病院外来レベルまで広げ検証を行なう必要があると考える.

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