日本大腸肛門病学会雑誌
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下腸間膜静脈造影による大腸癌の壁深達度診断(第1報)
摘出標本の検討
永澤 康滋森 克彦
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1986 年 39 巻 3 号 p. 237-246

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抄録

下部大腸癌切除標本14例(下行結腸癌1例,S状結腸癌8例,直腸癌Rs 1例,Ra 2例,Rb 1例)の下腸間膜静脈造影を行い壁深達度と静脈変形について検討した.
静脈変形71所見のうち直接所見(壁不整,狭小,欠損,閉塞)は腫瘍周囲隆起部に29.6%,近接腸管膜側部に21.1%,間接所見(集中,直線化,屈曲,圧排,ラセン状,念珠状)は周囲上下2~3cmの範囲で21.1%の出現をみた.
壁深達度と静脈所見の関係では腫瘍周囲隆起部と近接腸管膜側部のss a1の範囲で直接所見が各々19.7%,15.5%の出現をみた.
壁深達度診断には腸管壁へ分布する静脈を3群に分けて検討すると,腫瘍による直接変化は1次分技にss a1~s a2の範囲で18.2%,si ai,では100%に出現し,2次分枝の所見はss a1~s a2の範囲で81.8%の出現率であった.静脈の読影でも壁深達度診断は可能であり,術前診断にも応用できる.

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